研究課題/領域番号 |
62470089
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
吉川 貞雄 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70010759)
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研究分担者 |
松村 秀一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30051874)
小山内 州一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70051828)
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キーワード | カルシウム / アルドース / エピメリ化 / ケトース / ジアミン / 異性化糖 |
研究概要 |
前年度、本研究における糖質のC-2位のエピメリ化反応が、(1)C-1位とC-2位の炭素の立体選択的骨格変換によること (2)この種の変換には、金属とジアミンの共存が不可欠であること (3)C-4位に連結を有する二糖類に対してはC-2位のエピ化を行いえないことを実証した。 今回は置換アルキル基を有する各種アミン類を合成し、カルシウムイオン共存下でアルドースの変換を行ったが、ニッケル(II)のようにアミン類の構造の違いによる明らかな差はみられず、C-2位エピマーの外にケトースの生成が顕著であった。置換基の多いアミンを用いたときに、転換率が高くなる傾向がみられ、グルコースからの反応の方が、マンノースからの反応よりよく進行した。 モノアミンによっても高い転換率を示し、アミンの級数が高い程高く二級アミンの場合には、ケトースの生成が多い傾向にある。 C-2エピ化の反応はニッケルの場合と同様にC_2-グルコースとC_2-マンノースの間で特異的に行われているが、フラクトースの場合はC_1はそのままで骨格変換は起こっておらず、グルコースから炭素骨格の組替えなしで生成することを示している。 以上の事実により次の推論が可能になるであろう。カルシウムは糖のいずれかの酸素部位と結合してアミンの求核攻撃を受け易くする。その結果ケトースを生成すれば、カルシウム錯体を形成して安定化する。この反応を拡大しうれば、異性化糖への人工触媒が生れる可能性がある。しかしカルシウムを用いてもニッケルと同様にC_1、C_2位の炭素骨格変換が行われた事実を無視することはできない。何故なら、恐らく両者に共通する反応活性種が存在している筈だからである。なおメタノール還流下5分という条件では、アミン、塩化カルシウム、水酸化カルシウムのその何れを単独に用いた場合には、糖質の変化は認められない。
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