研究課題/領域番号 |
62470090
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三田 達 東京大学, 先端化学技術センター, 教授 (10013632)
|
研究分担者 |
古知 政勝 東京大学, 工学部, 講師 (90013705)
堀江 一之 東京大学, 先端化学技術研究センター, 助教授 (10013690)
|
キーワード | ポリイミド / 延伸イミド化 / 配向 / 分子複合材料 / 高弾性率 / 高強度 / 蛍光 |
研究概要 |
昨年度は、高弾性率・高強度のポリイミドを与える新しいイミド化法の開発、及び優れた特性を与えるのは、主鎖が剛直なポリマーの場合であることを明らかにした。本年度は、この剛直なポリイミドを強化分子、柔らかなポリイミドをマトリックスとする分子複合材料の開発、及びこれらポリイミド生成時のイミド化反応と物性との関係、及び生成したポリイミドの高次構造の蛍光発光による研究を行なった。 ポリイミド分子複合材料は、予想のように、ポリアミド酸ブレンドフィルムの延伸後のイミド化という手法による高次構造制御で、延伸方向に高い弾性率、強度を得たのみならず、横方向に充分高い靱性をもたせることに成功した。たとえば、剛直成分にビフェニル四酸無水物/パラフェニレンジアミン系ポリイミド、柔軟成分にビフェル四酸無水物/オキシジアニリン系ポリイミドを用いた分子複合材料では、弾性率30〜40GPa、強度1.5〜2GPa、横方向の伸び20〜30%のものが得られた。 イミド化反応は固相反応であり、分子運動支配と考えられる。各種ポリアミド酸のイミド化速度を調べると、生成ポリイミドの構造が剛直なものほど反応速度が速く、また、イミド化速度は、延伸度の高いものほど速い。このことから、剛直鎖ポリイミド形成時に、一種の液晶配向的な自己構造形成が起こるものと考えられる。 これらのポリイミドの蛍光が主として電荷移動発光であることを、モノマーの電子親和力、イオン化ポテンシアルなどとの関連から確めた。さらに、この発生が、ポリマーの高次構造と密接に関係し、延伸で高弾性を与えるポリイミドではポリアミド酸段階での延伸量に比例して強度が変るのに対し、高弾性率とならないポリアミドでは、蛍光も変化しないことが分った。
|