研究課題/領域番号 |
62470094
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 雅英 京都大学, 工学部, 助教授 (40025961)
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研究分担者 |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学部, 助手 (50127049)
小野木 禎彦 京都大学, 工学部, 助手 (70026201)
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キーワード | 蛍光偏光解消法 / 高分子鎖の局所運動 / 高分子鎖のダイナミックス / 高分子鎖の動的固さ / 緩和時間 |
研究概要 |
本研究は、蛍光性プロ-ブを高分子鎖に結合し、それの発する光発光特性を測定して高分子鎖の動的挙動を明らかにすることを目的とする。本年度は本研究の総括の年度にあたるため、昨年度からの研究を更に詳細に行うとともに当初計画した研究項目を遂行した。得られた成果は次のとうりである。 1.高分子希薄溶液における高分子鎖の局所運動: (1)ポリスチレン(PS)、ポリ(α-メチルスチレン)(PMS)鎖の中央にアントラセンプロ-ブを結合し、それの発する蛍光の時間分解異方性比をナノ秒時間域で測定して主鎖結合の角度相関の緩和時間を求め、高分子鎖の動的剛直性及び運動の相関が及ぶ距離的範囲を定量的に評価することができた。また運動の緩和時間に及ぼす溶媒効果を調べた結果、良溶媒中では溶媒の種類あるいは温度のいかにかかわらず運動の様式は変ることなく、緩和時間の活性化エネルギ-はほゞ同じ値を与えること、しかしθ溶媒中では良溶媒中に比べて緩和時間は長く、活性化エネルギ-も大きくなることが分った。この結果は、θ溶媒中ではセグメント密度が高くなり、局所運動が抑制され、更には運動の様式が変化しているためと考えた。 (2)高粘性溶媒トリプロピオニン(TP)中でのPSの局所運動の異常性:TPを溶媒としたPS希薄溶液について運動の緩和時間の温度依存性を調べた。その結果、高分子鎖の局所運動の活性化エネルギ-が溶媒粘度の活性化エネルギ-よりも小さいという異常性を見出した。 2.高分子溶液の速度勾配下での分子運動:ポリビニルアルコ-ル(PVA)に蛍光プロ-ブ、whitex RPを吸着結合させた試料を外筒回転型二重円筒セル中で一定速度勾配(0-1800S^<-1>)をかけた状態で偏光度を測定した。その結果、予想される流動配向効果は得られたが、流動複屈折の補正、液面やセル内の反射による偏光効果を除去することなど、真の値を得るためには解決すべき問題があることを明らかにした。
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