SP炭素だけで構成された一次元の共役三重結合から成るポリマー(カルビン)を、1.ポリ塩化ビニリデンの脱塩化水素による方法と、2.ドープしたポリアセチレンの塩素化により得られる立体規則性の塩素化ポリアセチレンを脱塩化水素する方法で合成した。 このようにして合成したカルビンの共役三重結合鎖長を、赤外吸収スペクトル、ラマン散乱スペクトル、紫外・可視吸収スペクトルなどで検討した結果、最長の共役三重結合鎖長を生成した反応系は、PVDCまたは塩素化ポリアセチレンをDBUーDMSO系で脱塩化水素したものであった。その長さ(N_<c〓c>)は約10〜40と推定された。 このように長い共役三重結合鎖を有するカルビンは熱や空気に対して極めて不安定であり、容易に三重結合の開裂や架橋反応を起こしたり、数分のうちに酸化されてしまうことがわかった。
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