研究概要 |
芳香族ポリエステルの融点を低下させて加工性を上げるため、主鎖中にヘキサメチレンスペーサーをもつサーモトロピックポリエステルを合成した。メソゲンとして1,4-ビス(4^7-オキシアリーレロキシ)-ジオキシフェニレンを用い、中心のアリーレン基としてフェニレン、メチルフェニレン、4-ジフェニレン、2,6-ナフチレン、1,4-ナフチレンおよび4,4^1-ジフェニレンの5種類について調べた。ポリマーの分子量をなるべく高くするため、ジカルボン酸とジアセチルアリールの脱酢酸反応を高温溶融状態で行った。重合収率76〜91%で得られたポリエステルは、すべてサーモトロピック液晶であった。4,4^1ビフェニレンのTm=337°C、Ti=400°C以上が最も高い転移温度のポリマーであった。上記ポリエステルでは、液晶温度範囲Ti-Tmは25°〜122°Cであった。各ポリエステルにつき、液晶状態、等方性液体状態、およびTmより若干低い温度などで、射出成形機を使って試験片に成形した。試験片は引張試験機でその引張強度および引張弾性率が測定された。メチルフェニレン、1,4-ブフェニレン、および2,6-ナフチレンを含むポリマーは1.0×10^3〜1.4×10^3Kgf/cm^2の大きな引張強度、そして14×10^3Kg/cm^2の大きな引張弾性率を示すことがわかった。これは、ヘキサメチレンのような長鎖スペーサーを含む芳香族ポリエステルの強度としては最も大きな値である。最大強度を示した試験片はすべて液晶状態からの成形品であった。また、同様に長鎖アルキレンスペーサーを持つ芳香族ポリエステルアミドからも、高強度ポリマーが得られることを予想し、サーモトロピックポリエステルアミドを合成した。3,3^1-ジメトキシ-4,4^1ジアミノビフェニル車位を含むポリエステルアミドは、60モル%のアミド基含量のものまでサーモトロピック液晶になることが分った。
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