1.菌類のチチタケ及びキチチタケから乾燥菌体にあたりそれぞれ2.6%及び0.13%の低分子量のシスポリイソプレンを単離した。125MHzNMRによる解析から、チチタケのポリイソプレンはジメチルアリル末端、トランスイソプレン単位2個、シスイソプレン単位約260個、不飽和脂肪酸エステル末端の配列構造をもつことが明かとなった。重合度はGPC測定による値の約300とも一致した。キチチタケのポリイソプレンは、トランス単位2個とシスイソプレン単位約160個から成り、同一の配列構造を持つことが分かった。この構造から、これらのポリイソプレンはトランス、トランス-ファルネシルピロリン酸からイソペンテニルピロリン酸のシス付加によって生長し、末端のエステル化によって停止する生合成機構であることが明かとなった。 2.天然ゴムの分岐または架橋の原因になると推定されている天然ゴム中のエポキシ基とアミノ酸との反応を^<13>Cエンリッチしたグリシンとの反応によって調べた。ラテックスとグリシンの反応物のC-13NMRには予想されるシグナルが認められなかった。この結果は^<14>Cトレーサー測定によるものと一致せず、更にモデル化合物による確認実験を行なうことにした。 3.トランスポリイソプレン及びシスポリイソプレンを-70℃または-20℃で結晶化し、これをオゾン分解することによってイソプレン単位10〜13個に選択切断できることを見出した。この手法により、結晶化しない分岐部分や末端基を効率よく分離できることがわかった。天然ゴムについて分岐度と非イソプレン単位の量との関係を求める基礎技術が完成した。
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