研究概要 |
酵素の機能を化学的あるいは生化学的に変換させることにより, 天然では得られない触媒反応性,特異性を持った酵素系を創出し,さらにこれらを通常とは異なる極端な条件下において働かせることにより, これまでに得られなかった構造を有するペプチドを合成しその機能を検討することを目的とするのが本研究であるが,本年度および次年度にわたって行われる諸段階のうち, 本年度においては以下の成果が得られた. 1)カルボキシペプチダーゼYヤザーモライシンといったプロテアーゼによるペプチド合成反応を,1000気圧〜2000気圧という高圧力下で行なわせることにより, ペプチド生成の収率や生成物の分布を変化・向上させ得ることが見出された. 2)サーモライシンの活性部位金属(亜鉛)イオンをコバルトイオンに変換したり,そのTyrー110をNーアシルアミノ酸ヒドロキシサクシニイミドによって化学修飾することによって,ペプチド合成反応の特異性を広げることが見出された. 3)カルボキシペプチダーゼYによるペプチド合成反応に,有機溶剤を添加することによってその収率を向上させ得ること,またその効果は溶剤の種類によって大きく異なることが明らかにさせた. 4)タンパク質の加水分解反名を高圧力下で行わせることにより,特異的なポリペプチド断片を得ることができ, この方法は通常行われている変性剤を使うやり方よりもその操作性などにおいて優れていることが明らかにされた.
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