研究概要 |
回分式吸着と流通式溶出を組み合せたアフィニティによる分離精製を行うための実験装置として, ガラス製の容器を試作した. 上部は内径50mm,高さ50mmで底の部分がロート状になっている. 下部はカラムで内径6mm,高さ200mmになっている. 上部は吸着操作のためであり, 空気の気泡の上昇を撹拌として用いており, 吸着体の破壊を防ぐことができる. この後で空気の流入を止めて吸着体を沈降させて, 下部のカラムに移動させる. 洗浄の後で, 溶離剤により目的物質を溶出回収できる. そして緩衝液で洗浄した後でカラムの底部から緩衝液を流入させることにより吸着体を上部に移動させ次の吸着操作に移る. 以上の実験操作をくり返し行い, 円滑に進行することを確認した. 吸着平衡の測定には吸着体のBulu Sepharose CL-CBへのアルブミンの吸着量を5℃で2昼夜の間保って行い, Langmuir型で表わされることが分かった. アルブミンの分析には液体クロマトグラフと紫外吸光光度計を用いた. 回分式吸着の実験では液量と初濃度を変化させて行い, どの条件でも約1時間後にはほぼ平衡になることを確認した. 比較のために行った流通式吸着実験はカラムで行い, 破過曲線の測定結果より, 原料濃度が小さい場合には破過点まで長時間を要し, 20時間以上も必要であることが分かった. 流通式溶出にはカラムを用いて実験を行った. その結果, 原料濃度より14倍ほど高い濃度まで農縮でき, 必要な時間も30分ほどで良いことが分った. 以上の実験結果より, 本研究の複合プロセスは生化学物質の分離精製に有用であることが分った. しかし, 実験装置が小型であるので, 次年度ではスケールアップして大型の装置で実験し, 本研究を完成させたい.
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