回分式吸着と流通式溶出を組み合わせたアフィニティによる分離精製を行うための実験装置として、ガラス製の容器を大小2種類試作した。上部は吸着操作のためであり、空気の気泡の上昇を攪拌として用いており、吸着体の破壊を防ぐことができる。この後で空気の流入を止めて吸着体を沈降させて、下部のカラムに移動させる。洗浄の後で、溶離剤により目的物質を溶出回収できる。そして、緩衝液で洗浄した後でカラムの底部から緩衝液を流入させることにより吸着体を上部に移動させ次の吸着操作に移る。以上の実験操作をくり返し行い、円滑に進行することを確認した。 Blue Sepharose CL-6BによるアルブミンおよびSoybean Trypsin Inhibitorによるトリプシンの分離およびイオン交換樹脂による脱塩の3種類の系に対して実験を行なった。 吸着平衡の測定には5℃で2昼夜の間保って行い、アルブミンの時Langmuir型、トリプシンの時Freundlich型で表わされることが分かった。 アルブミンおよびトリプシンの分析には液体クロマトグラフと紫外吸光光度計を用いた。 回分式吸着の実験では液量と初濃度を変化させて行い、どの条件でも約1時間後にはほぼ平衡になることを確認した。 比較のために行った流通式吸着実験はカラムで行い、破過曲線の測定結果より原料濃度が小さい場合には破過点までに長時間を要し、20時間以上も必要であった。 流通式溶出にはカラムを用いて実験を行い、原料濃度より14倍(アルブミンの時)および35倍(トリプシンの時)ほど高い濃度まで濃縮できた。 従って、本研究の複合プロセスは生化学物質の分離精製に有用であることが立証できた。
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