研究課題/領域番号 |
62470108
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐山 榮三 京都大学, 工学部, 教授 (60023024)
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研究分担者 |
寺嶋 正明 京都大学, 工学部, 助手 (30172092)
加藤 滋雄 京都大学, 工学部, 講師 (20026272)
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キーワード | 免疫アフィニティクロマトグラフィー / 抗体 / 分子修飾 / 抗原結合比 / プロテァーゼ分解抵抗性 |
研究概要 |
抗体分を塩化シアヌル活性化ポリエチレングリコールで修飾し、これを免疫アフィニティクロマトグラフィーのリガンドとして担体に固定化した場合の、抗原結合比の変化とプロテアーゼによる分解に対する抵抗性を検討した。抗体分子にポリエチレングリコールを結合させると、これが種々のプロテアーゼの抗体への接近を妨げるため、修飾抗体はプロテアーゼによる加水分解から保護されることが期待される。 適当な修飾率で修飾すれば、ペプチド結合分解部位特異性の高いトリプシンやペプシンにより抗体リガンドはほとんど分解されず、吸着体を充填したカラムにこれらプロテアーゼを繰り返し流しても、抗体の抗原吸着量はほとんど低下しなかった。また、分解部抵抗性を示した。平均分子量5000のポリエチレングリコールで修飾した方が、1900のものの場合より分解抵抗性が高かった。抗体の抗原結合部位を抗原で保護せずにポリエチレングリコールで修飾して場合は修飾率の増加とともに抗原結合比は低下したが、抗原結合部位を保護すれば低下率は軽減された。 免疫アフィニティクロマトグラフィーによる分離を行う粗原料液中にプロイテアーゼが含まれていても、このような抗体分子の修飾によって抗体リガンドの分解が抑えられ、長期間にわたって抗原結合能を維持できる。さらに抗体リガンドの担体からの遊離量が減少するので、精製品中への混入が少なくなることも期待される。 抗体分子中で生理活性をになうFc部を分解除去したFab部をリガンドとして用いれば、全抗性と同様な抗原吸脱着特性のアフィニティ担体が得られた。リポソームを用いてFab部の補体活性化能を測定したところ、全抗体と比べて低く、体外循環によって特定病因物質を除く場合のリガンドとしてFab部が有用であるといえる。
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