研究概要 |
粒径が0.1ミクロン以下の超微粒子に関して,純度の高い粒子が期待できる気相化学反応法による超微粒子の効果的な製造法および粒子生成過程を理論的に検討した. とくに本研究では,比較的低温で粒子が生成されるチタン金属アルコキシドの高温蒸気の熱分解反応による酸化チタンの微粒子の生成について,つぎのように研究を進めた. まず,実験的には,(1)約1200℃まで制御できる5段の管状型加熱炉を製作し,炉内の温度分布を測定し,一定,上昇,下降の温度分布など,任意の温度分布に設定した. (2)チタンのアルコキシド蒸気を発生させ,これを電気炉に導入し,混合比,炉温度,炉温度分布,炉内ガス滞留時間などを変え,微粒子の生成実験を行った. (3)発生した微粒子の粒度分布を静電分級器および凝縮核計数器で,ガスの濃度をガスクロマトグラフで,粒子の形状を電子顕微鏡で分析した. 一方,理論的には,(1)アルコキシド蒸気の熱分解反応による酸化チタンモノマーの発生,酸化チタンのクラスターおよび微粒子の生成を表わす基礎式をSRC(Simplified Reaction ( oagulation)モデルに基づいて導出し,広範な条件下で電子計算機により数値的に解いた. (2)蒸気モノマー,酸化チタンモノマーおよび粒子濃度の時間的変化が求められた. 以上の理論的・実験的考察より以下のことが明らかとなった. (1)粒子の平均径は0.1μm以下で,チタンアルコキシド蒸気の濃度の0.4〜0.6乗,電気炉の温度に比例して大きくなる. (2)また,粒子の一次粒子の平均径は,反応温度とは逆相関になり,滞留時間に依存しない. (3)粒子の分布は対数正規分布で,幾何標準偏差は,ほぼ1.4〜1.6に入る. (4)実験結果の傾向は,理論計算結果でよく説明できた.
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