研究概要 |
1.130kDa殺虫性タンパク質DNAのクローニング. Bacillus thuringiensis var israelensisのδー内毒素タンパク質の遺伝子をクローン化するために, pBTIー6を含む大型プラスミド画分をアルカリ法, 並びに塩化セシウムー臭化エチジウム密度勾配遠心法により分離・精製した. 得られたプラスミドDNAをHindIIIで切断し, pBR322のHindIII部位にクローン化した. 大腸菌に形質転換した後, 毒素タンパク質を生産しているコロニーをElisa法で検索した. 1000個のコロニーから7個のクローンを得た. これらの中からpBGH3とpBGH4と命名した2種類の組換えプラスミドを解析した. pBGH3は7.8kbの長さのHindIII断片が挿入されており, pBGH4には9.4kbのHindIII断片が挿入されていた. これらの断片をさらにHindIIIで切断してサブクローニングを行なうと, pBGH3断片からは5.2kbの, またpBGH4からは5.0kbのDNA断片がそれぞれ得られた. 2.pBGH3およびpBGH4の構造解析. pBGH3およびpBH4をそれぞれClaIで切断し, 得られた4.2kbおよび5.3kbのDNA断片についてそれぞれ塩基配列を決定した. pBGH3由来のDNAにはただ1個のORFが存在し, ヌクレオチド数3408,タンパク質の分子量127500Daに相当していた. 一方pBGH4では3543ヌクレオチドよりなるORFが存在し, これは134400Daのタンパク質に相当していた. BTIには130kDaの殺虫性タンパク質が存在していることが知られていたが, 本研究により, 130kDaタンパク質に2種類存在していることが明らかとなった. pBGH3とpBG4のカルボキシル末端467ヌクレオチドは全く同一の塩基配列であった. 3.今後の展開. pBGH3およびpBGH4は共に巨大分子である, どの部位が殺虫性に関与している領域であるかを決定する必要がある. そのためのサブクローニング等を行う.
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