研究概要 |
1.本菌の膜結合型ヒドロゲナーゼの天然電子受容体がシトクロムC_<552>であることを以下に述べる実験結果から明らかにした. (1)Whole cellでシトクロムC_<552>がヒドロゲナーゼ依存で還元された. (2)菌体をフレンチプレスで破壊した懸濁液,またここから常法により調製された膜画分を用いた実験において,シトクロムC_<552>がヒドロゲナーゼにより還元され,2ーheptylー4ーhydroxyーquinoline N oxide(シトクロムbーc間の電子伝達阻害剤)存在下においても同様の反応が観察された. (3)本菌の無細胞抽出液から陽イオン交換およびアフィニティクロマトを用いてシトクロムC_<552>を電気泳動的に単一に精製した. また,膜画分からのヒドロゲナーゼ可溶化条件を種々検討した後,アルカリ処理により可溶化を行ない,疎水および吸着クロマトを用いて,キノン,シトクロムfreeのヒドロゲナーゼ部分精製標品を得た. こうして得られたヒドロゲナーゼは,陰イオン性界面活性剤(SDS)の存在下,水素に依存するシトクロムC.ナD2552.ニD2の還元を触媒した. 2.本菌の無細胞抽出液中におけるフェレドキシンの存在は否定的であった. 3.ピルベートシンターゼ,αーKGシンターゼの無細胞抽出液からの精製を従来の活性測定法を用いて行ない,陰イオン交換およびアフィニティクロマトが有効な手法であることを確認した. 上記両酵素のシンターゼ方向の活性は未だその測定に成功していない. 4.還元的TCAサイクルのキーエンザイムであるATP:citrate lyaseを,陰イオン交換・吸着・アフィニティおよびゲル瀘過の各カラムクロマトを用いて電気泳動的に単一に精製した. 活性発現には,クエン酸,Mg^<2+>(Mn^<2+>も可),ATP(dATPの可),CoAが必須であり,反応至適pHは6.7ー6.9,反応至適温度は約80℃であった.
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