本研究おいて筆者らは以下のことを明らかにした。 1.TKー6株の末端シトクロムをシトクロム0と同定した。TKー6株にはPQQの存在が確認されたが、常法によってはフェレドキシンの存在は認められなかった。 2.菌体破壊液および膜画分で、シトクロムCがヒドロゲナーゼ反応により還元され、この反応はHQNO(シトクロムBーC_1間の電子伝達を阻害)により阻害されなかった。 3.TKー6株のCell-free extractからシトクロムCを精製し、種々蛋白化学的性質を明らかにした。 4.TKー6株の膜結合型ヒドロゲナーゼを可溶化・精製し、界面活性剤が活性増大効果を持つことを明らかにした。 5.精製したシトクロムCが部分精製ヒドロゲナーゼにより界面活性剤存在下において還元された。 6.上記1ー5の結果からTKー6株の電子伝達系の全容を明らかにした。 7.Pyruvate synthase(還元的TCAサイクルにおいて強力な還元力を必要とする反応)を逆反応の活性を指標として部分精製し、その画分がピルビン酸のカルボキシル基とNaH^<14>CO_3との交換反応を触媒したことからPyruvate synthaseがTKー6株中に確かに存在していることを明らかにした。 8.細胞破壊液、あるいは部分精製Pyruvate synthaseを用いて、種々条件下におけるAcetylーCoA依存のNaH^<14>CO_3とりこみ活性を測定したが有意なPyruvate synthase活性は検出されなかった。 9.還元的TCAサイクルの鍵酵素であるATP:citrate lyaseを精製し、同サイクルがTKー6株で働いている有力な証拠を得た。
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