研究概要 |
1.Sーアデノシルホモシステイン関連ヌクレオシド類の生産:ホモシステインラセマーゼとアデノシルホモシステインヒドロラーゼを併産する菌株としてPseudomonas putidaを新たに見いだした. 本菌を単独でまたはアデノシルホモシステインヒドロラーゼ高生産菌としてすでに見いだしていたAlcaligenes faecalisと併用することにより,安価なラセミ型ホモシステインを出発基質とする合成法が可能なことを見い出した. すなわち,ラセミ体基質中のL体はアデノシルホモシステインヒドロラーゼによりアデノシンと縮合してSーアデノシルホモシステインが合成される. 一方,未反応のD体は,ラセマーゼによりラセミ体となる. このようにして生じたラセミ体中のL体の遂次アデノシルホモシステインヒドロラーゼの作用によりSーアデノシルホモシステイへと導かれる. 従って最終的にはラセミ体基質のすべてがSーアデノシルホモシステインへと変換されることになる. この方法について反応条件等の検討を行い,約80g/lのSーアデノシルホモシステインをモル収率100%で得ることができた. 2.ヌクレオシド化ホモシステイン類の合成:A.faecalisのアデノシルホモシステインヒドロラーゼのヌクレオシド類に対する幅広い基質特異性を利用して,従来合成法の確立がなされていなかったネブラリン,ホルマイシンA,などのホモシステイン誘導体の合成法を確立した. 3.Sーアデノシルメチオニンの生産:清酒酵母(Saccharomyces sake)を用いるSーアデノシルメテオニンの生産方式を確立した. 本菌を用いてベンチスケールファートンターによる最適化を行い,約11g/lの生産が可能なことを認めた. また,本菌の高生産能はアデノシルメチオニン合成酵素活性が他の菌に比して有意に高いことが要因の一つであることを認めた.
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