研究課題/領域番号 |
62470126
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 悦郎 京都大学, 農学部, 教授 (50026522)
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研究分担者 |
樋口 雅子 京都大学, 農学部, 教務職員 (40110762)
河田 照雄 京都大学, 農学部, 助手 (10177701)
伏木 亨 京都大学, 農学部, 助教授 (20135544)
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キーワード | 食品成分 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 動物細胞培養 / 小腸上皮細胞 / 脂肪細胞 / ビタミン類 |
研究概要 |
動物細胞の多くは、未分化の幹細胞の分化・増殖と正しい移行による再構成によって正常な組織の構造と機能が維持されている。特に小腸の上皮細胞や肥満の成立に関係の深い脂肪細胞の形成は、摂取する食品成分によって著しい影響を受けていると考えられる。そこでこれらの前駆細胞のモデルとなる培養細胞を用いて、分化・増殖に必須な因子とその作用機作を明らかにすることを目的とした。本年度の成果を要約する。 小腸上皮細胞のタ-ンオ-バ-は極めて速く、クリプトで分裂した幹細胞は数日の間に成熟細胞に分化し、絨毛の先端に達して剥落する。ラット小腸由来の培養細胞IEC-18を幹細胞のモデルに用いて分化誘導因子を検索した。IEC-18細胞にラット小腸酸抽出物を添加すると、24時間後に増殖が停止し、48時間後に小腸上皮吸収細胞の特徴であるスクラ-ゼ活性が増加するとともに、微絨毛様構造の形成が電子顕微鏡により観察された。このことは小腸抽出物中に分化誘導因子が存在することを示唆する。この因子を精製したところ、熱、酸に安定で分子量400〜800であることが判明した。また食品成分が消化管ホルモンを介して関与していることを示唆する結果も得た。 培養下で脂肪細胞へ分化しうる繊維芽細胞3T3-L1を用いて、デキサメサゾン、MIX、インスリンの存在で速やかに分化せしめる系で各種ビタミン及び関連物質の影響を系統的に検討した。水溶性ビタミンのうちB_6群及びCが促進効果を有し、特にCの効果は顕著であった。脂溶性ビタミンのうち、A群(β-カロチンを含む)、D群、E群、K群はいずれも分化を強く阻害した。しかし一部のもの(D,Kなど)は低濃度ではむしろ促進的効果を示した。またこれらビタミンの作用が脂肪細胞の形成時に特異的に発現するリポプロティンリパ-ゼの転写レベルを制御していることも判明した。
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