非水系セルロース溶媒を用いて調製したセルロース誘導体の構造結晶化と機能化

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62470128
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 岡村 圭造 京都大学, 農学部, 教授 (50026506)
• 研究分担者: 藤田 稔 京都学部, 農学部, 助教授 (60026599) ; 谷口 髞 新潟大学, 教育学部, 教授 (20126428) ; 東 順一 京都大学, 農学部, 助教授 (80115782)
• キーワード: 非水系セルロース溶媒 / セルロース誘導体 / 2次元NMR分析 / X線回折 / 電子線回折 / コンホメーション解析 / パッキング解析

研究概要

出発セルロース試料として、ワットマンセルロース,アビセルおよび精製ラミーを用い、非水系セルロース溶媒(塩化リチウム/ジメチルアセトアミドあるいは無水トリフルオロ酢酸)中において、nー脂肪酸セルロースエステル(セルロストリプロピオネート,セルローストリブチレート、セルローストリバレレート)を調製した。調製したセルロースエステルのそれぞれについて、ジクロロメタンを溶媒としてShodexカラムを用いて分別した。分別したセルロースエステルの置換度は2.9〜3.0であり、ほぼ完全に置換されていた。そのうちセルローストリプロピオネートについては、^1Hー^1H COSY、^1Hー^<13>C COSY、^1Hー^<13>CCOLOC、LSPNといった新らしい2次元NMRの手法を用いてすべてのプロピオニル基の完全帰属を行なった。その結果をNO.9の雑誌論文として公表した。
分子量の大きいラミーより調製したセルロースエステルについては、X線回折用配向試料を調製し、X線繊維図を基にコンホメーション解析を行なった。一方、分子量の小さいアビセルより調製したセルロースエステルのうち、分子量の小さい画分について、高分子単結晶の調製を試み、セルローストリプロピオネートおよびセルローストリブチレートについて、単結晶の生成に成功した。単結晶の制限視野電子線回折のすべての回折点は、X線回折図の赤道線の回折点と一致し、消減測と分子の対称性から空間群を決定した。さらにX線回折と電子線回折の結果を総合して、セルローストリプロピオネートとセルローストリブチレートの分子構造と結晶構造の解析を行なった。得られた結果を第10回セルロース会議(88年5月、NY州シラキュース市)および第3回国学際セルコン会議(88年11月、京都市)に於て発表し、それぞれの結果は、NO.7の著書およびNO.8の雑誌論文として公表予定である。

研究成果

• [文献書誌] Okamura,Keizo: Wood Research. 69. 89-90 (1983)
• [文献書誌] Okamura,Keizo: Proceedings of International Symposium on Fiber Science and Technology. 274 (1985)
• [文献書誌] Okamura,Keizo: Proceedings of International Symposium on Wood and Pulping Chemistry. 2. 121-122 (1985)
• [文献書誌] Shuto,Yuichiro: Bulletin of Kyoto Univirsity Forests. 57. 308-315 (1986)
• [文献書誌] Shuto,Yuichiro: Macromolecules. 20. 2317-2318 (1987)
• [文献書誌] Okamura,Keizo: Journal of Applied Polymer Science:Applied Polymer Symposia. (1989)
• [文献書誌] Shuto,Yuichiro: Proceedings of the Third International Cellucon Meeting. 1989.
• [文献書誌] Shuto,Yuichiro: Bulletin of the Institste for Chemical Research,Kyoto University. 66. (1988)
• [文献書誌] Shuto,Yuichiro: Ellis Horwood Ltd.,West Sussex,England X-Ray and ElectronDiffraction Study of Some Cellulose Derivatives, Ellis Horwood Ltd.,West Sussex,England X-Ray and ElectronDiffraction Study of Some Cellulose Derivatives, (1989)