研究概要 |
1.各種海藻および植物プランクトンの抗腫瘍活性 大型海藻は約70種の微粉の生理食塩水懸濁液および数種植物プランクトンの水溶性,脂溶性画分の抗腫瘍活性を測定した. 一次試験はEhrlich carcinomaを,二次試験はMethーA fibrosarcomaを,マウス鼠径部皮内に移植し, 試料を経口又は腹腔内に投与して,対照群に対する腫瘍抑制率を比較した. 一次,二次の両試験を通じて,緑藻のアナアオサ,スジアオノリ,褐藻のオキナワモズク,ウミトラノオ,オオバモク,トゲモク,ホンダワラ,ヨレモクが高い抑制率を示した. 紅藻のミリン科に属するキリンサイ,トサカノリ,ナラワスサビノリ,マクサ,ユイキリに著明な効力が認められた. さらに,黄色鞭毛藻Monochrysis sp.の中性脂質画分にEhrlich腫瘍の発育阻止力が得られた. 2.抗腫瘍性成分の分別と化学構造 上記の抗腫瘍性を示した海藻種の活性本体を探るために,多糖類に着目して分離,精製を行い,抗腫瘍効果を比較した. 藻体を熱水抽出後,アミラーゼ処理してエタノール沈殿物を集め,DEAE セファデックスAー25ならびにエタノール濃度分画によって単一成分に分離した. 分離多糖は酸水解後糖アルコールに変えてGC分析に供し,構成糖を同定した. 試験に供した多糖類はラムナン硫酸,アルギン酸,アルギン酸のグルロン酸ブロックとマンヌロン酸ブロック,フコイダン,ラミナランならびにλ,i,κーカラゲナンポルフィランである. これらの中で,著明な腫瘍抑制効果が認められた多糖はアルギン酸,フコイダン,λ,κーカラゲナンであり,ポルフィランも高抑制率を示した. ただし,海藻多糖は純製品になる程,活性が低下する傾向が見られたので,糖タンパク質,糖脂質について検討を進めている.
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