細胞増殖抑制試験による海藻・植物プランクトンに含まれる選択毒性物質の検索 ヒト肺由来の正常2倍体WIー38をSuー40ウィルスでトランスフォームさせガン化したWIー38、VAー13細胞をRPMIー1640培地中で組織培養して5〜6日後に試験を終了し、各Wellの細胞数を計測し、IC_<50>を算出して細胞毒性効果を比較した。 (1)水溶性画分 試料をホモジナイズ後水抽出して得た上清をpH3に調製し、クロロホルムで振盪し、水層を集めて細胞試験に供した。褐藻のオゴノリ0.86μg/ml、ナラワスサビノリ0.70μg/mlのIC_<50>値を示した。また、クロロホルム:メタノール(1:1)抽出後水洗して水層に抽出された画分の抗腫瘍活性を比較すると、緑藻ミル、ナガミル、ヒトエグサ、褐藻ほんだわら科のアカモク、オオバモク、ウガノモク、トゲモク、イソモク、こんぶ科のカジメ、アラメ、マコンブに比較的強い活性が得られた。有効成分は分子中に50%以上の糖を含有する糖脂質例えばヘキソース、スフィンゴジン脂肪酸の複合体の可能性が強いが、更に精製を継続中である。 (2)脂溶性画分 前述のpH3でクロロホルム可溶画分をシリカゲルカラムで中性、糖、リン脂質に分け、夫々を酸性白土を通して脱色した。得られた三画分を培養液に可溶化させるために可溶化剤として1%ジメチルスルホオキシド、1%ジメチルフォルムアミドを用いても溶解せず、1%トゥイーン80、HCOー60には溶解したが、細胞毒性が顕著であった。比較的毒性の少ないアセトン、エタノール、メタノール、ピリジンは脂質画分を溶解できなかった。混合溶媒やpH調整による可溶化、超音波処理も無効であった。更に物理、化学的条件を検討しており、動物試験を施行中である。
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