研究概要 |
細胞増殖抑制試験による海藻・植物プランクトンに含まれるいる抗腫瘍性物質の精査 各種の海藻および植物プランクトンの計42種から多糖類、水溶性高分子画分、水溶性低分子画分、タンニン様物質の計77検体を抽出しヒト肺由来の培養腫瘍細胞W1-38VA-13に対する増殖抑制効果の調査を行った。 1.多糖類緑藻ヒトエグサの粘質多糖ラムナン硫酸、褐藻アカモクとAscophyllum nodosumの粘質多糖フコイダンでそれぞれ18.6μg/ml,34.8μg/ml,39.2μg/mlで50%以上の増殖抑制効果が認められ、従来の免疫賦活能以外の直接毒性の存在する可能性が示唆された。 2.水溶性高分子画分褐藻アカモク、ヒジキ、A.nodosum、マツモでそれぞれ70.7μg/ml,41.6μg/ml,80.2μg/ml、73.4μg/mlで50%以上の増殖抑制効果が認められ、その有効画分は多糖あるいは糖タンパクであると機器分析で判った。 3.水溶性低分子画分 緑藻コブシミル、褐藻ヨレモク、フシスジモク、アカモク、マメタワラ、ウガノモク、マコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブ、カジメ、マツモと有効海藻が多く、73.5μg/ml-2.7μg/mlで50%以上の増殖抑制効果を示し、中でもマツモが2.7μg/mlできわめて強い効果を示した。 4.タンニン様物質 褐藻A.nodosum、マツモ、オオバモクが増殖抑制効果を示したが、A.nodosumが10.1μg/mlと強い効果を示し、新しい抗腫瘍活性物質が期待された。 以上、海藻には従来の多糖類のみならず、水溶性低分子画分やフェノ-ル様物質にも極めて強い腫瘍細胞増殖抑制効果があることが判り、現在動物試験による二次スクリ-ニングと機器分析による構造解析を続行中である。
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