研究課題/領域番号 |
62470129
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
野田 宏行 三重大学, 生物資源学部(水産学部), 教授 (70024825)
|
研究分担者 |
木村 俊夫 三重大学, 生物資源学部(水産学部), 助手 (50024831)
天野 秀臣 三重大学, 生物資源学部(水産学部), 助教授 (40024830)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1989
|
キーワード | 抗腫瘍活性 / 組織培養 / 多糖類 / 海藻 / タンニン / 高分子化合物 / 低分子化合物 / 腫瘍細胞 |
研究概要 |
1.海藻および植物プランクトンの抗腫瘍活性 57種の海藻および植物プランクトンを用い、経口投与でエ-ルリッヒ腫瘍移植マウスに対する増殖抑制効果を調べたところ、カヤモノリ、レッソニア、マコンブ、スサビノリ、キリンサイで69.8%-52.1%の増殖抑制率を示した。(2)腹腔内投与でメスA固形腫瘍に対する効果を調べたところ、ヤツマタモク、キリンサイ、オオバモク、ミツイシコンブ、カジメで55.5%-35.9%の抑制率を示した。 2.細胞増殖抑制試験による海藻・植物プランクトンに含まれる抗腫瘍性物質の精査 上記の各種の海藻および植物プランクトンから多糖類、水溶性高分子画分、水溶性低分子画分、タンニン様物質の計77検体を抽出し、ヒト肺由来の培養腫瘍細胞WI-38 VA-13に対する増殖抑制効果の調査を行った。 (1).多糖類:緑藻ヒトエグサのラムナン硫酸は18.6μg/mlで50%以上の増殖抑制効果が認められ、従来の免疫賦活能以外の直接毒性の存在する可能性が示唆された。(2).水溶性高分子画分:褐藻ヒジキは41.6μg/mlで50%以上の増殖抑制効果が認められ、その有効画分は多糖あるいは糖タンパクであると判明した。(3).水溶性低分子画分:この画分は有効海藻が多く、11種が73.5μg/ml-2.7μg/mlで50%以上の増殖抑制効果を示し、中でもマツモが2.7μg/mlと強い効果を示した。(4).タンニン様物質:Ascophyllum nodosumが10.1μg/mlと強い効果を示し、新しい抗腫瘍活性物質が期待された。 以上、海藻には従来の多糖類のみならず、水溶性低分子画分やフェノ-ル様物質にも極めて強い腫瘍細胞増殖抑制効果があることが判り、現在動物試験による二次スクリ-ニングと機器分析による構造解析を続行中である。
|