研究概要 |
本研究課題中, 昭和62年度は, 2つの研究プロジェクトで大きな成果をおさめることができた. 以下, 順次概要を記す. 1.新しい世代のβーラクタム系抗生物質として期待されているカルバペネムおよびペネム抗生物質は, 合成による生産が必須である. これら2つの抗生物質合成上の録中間体は, 4ーアセトキシー2ーアゼチジノン誘導体3である. 今回, 我々は, 安価なる(R)ーヒドロキシ酪酸より3を効率よく合成するルートを開発した. 鍵となっている反応は, ボロンエノラートーイミン縮合反応と2から3への電解酸化反応である. 2.ニレプロスト6は, 新しいタイプの抗潰瘍剤として, 現在開発段階にある. しかしながら, 未だ優れた合成法は開発されておらず, 6の合体法開発研究は, 極めて意味のある研究テーマである. 6合成上の最大の問題点は, シアノ基が置換したエノールエーテルの立体化学をいかに望みの形に制御するかである. 我々は, 今回, 共没ジエン4を水素下pdーcで還元ー異性化させる新反応を開発し, 6の高効率合成法を開発した.
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