研究概要 |
オピオイドリセプターの単離に際して最も重要なことは適切なリガンドの選択である. そこでオピオイドリセプターに対して高い選択性をもち, 且つ強いリセプター結合能をもつモルヒネの化学修飾を中心に研究を進めた. オピオイドリセプターをPCMBやDTMS等のSH基修飾試薬で処理するとオピオイドのリセプター結合が阻害される. この事から, オピオイド受容体の結合部位にはSH基が存在することが示唆されている. 又,オピオイドリセプターの構造保持にはーSーSー結合が必須である事からモルヒネ分子骨格中のCー位にSH基の導入を検討した. まづ, モルヒネのC_6位の水酸法にキサンテート法を導入し,キシレン中150℃で加熱し,その熱転位生成物の構造を解析した. その結果,コデインのキサンテートの場合,α面の立体障害を克服し対応する8位(α配向)に転位することを突きとめた. 一方,イソコデインの場合はキサンテートの生成と同時に転位反応が進行し,対応する8位置換体(βー配向)を定量的に与えた. 更に,ここで得られた8位置換体について加熱したところ,メチルキサンテートのみが転位し,6ーメチルスルフィド体を与えた. 以上のようにコデインキサンテーテ類の熱分解反応により,8位への立体選択的なS官能基の導入が可能になると共に,更に熱転位により6ーチオール体へ変換できる経路を見出すことができた.
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