研究概要 |
オピオイド受容体において、その受容体像を明らかにすることは、鎮痛活性をはじとする薬理作用を分子レベルで理解するのに重要である。このためにアフィニティーテクニックを用いたオピオイド受容体の単離精製の試みがなされている。しかし、現在までに精製をされた受容体の分子量をはじめ各研究者間で一致した見解がない。従って、オピオイド受容体の単離に際しては重要なこととして高い分子認識を設計したオピエートリガンドを選択し分離抽出を試みる必要がある。一方、オピオイド受容体には教種のサブタイプの存在が報告されており、鎮痛活性の発現と麻薬依存性の発現がいずれも受容体のサブタイプを通じているか全く不明である。これに関して、μーアゴンストに高親和性、μーアンタゴニストに高親和性およびδーアゴニストに高親和性の3つの状態からなるオピオイド受容体のアロステリソクモデルが提案されており、その平衡がSH基のより調整されていると考えられている。しかし、現在のところSH基修飾試薬によるオピオイドの薬理作用の検討はなされているが、分子レベルで検討はなされていない、そこで、オピエートの6位の受容体に対する2次認識部位にチオール基の適確な導入法を種々検討した。これに関し、前年度においてもコデインの6位にキサンサート基を導入し種の熱転位を検討した結果をふまえ、3つの方法により検討した。すなわち、トシレート基を脱離基とするチオ酢酸による二分子求核置換反応、N,N′ージメチルホルムアミドジネオペンチルアセタールによるチオ酢酸との反応、および老延法について検討した結果、老延法が最もよい結果を与えた。
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