研究課題
一般研究(B)
昭和62〜63年度に行なった研究成果について、すべての継続研究は一部研究者の移動などで計画通りに進行しなかったり、遅れたりした部分はあるが、ほぼ予定に沿った形で成果を上げることができた。1)強い血栓溶解作用を持ち、脳血栓治療薬や予防薬としての医薬開発が期待されるイソカルバサイクリンの新規合成法開発を目的とした合成中間体であるビシクロ[3.3.0]オクト-6-エン-2-オンから標的化合物への新規合成ルートの開発を行なった。2)別のイソカルバサイクリン合成中間体である5/5縮合環β-ケトエステルを新しく開発した反応であるRh-カルベノイドのC-H挿入反応を更に展開し、光学活性中間体の合成に応用した。3)これらの合成中間体から新しいイソカルバサイクリンへ変換するため新しい方法論によるω鎖の導入を検討した。4)新しい三環性プロスタサイクリン類縁体の合成は、5/5縮環フラン環の構造に苦労したが、合成手段の改良を含めその合成に成功した。5)ロイコリエンB_4やリポキシンのコンフォメーションを固定する分子設計に関連して、これら物質の合成に利用する芳香族環への新しいC/C結合形成反応が硫黄の特製を活かして開発できた。この反応の詳細を検討すると同時に、ロイコトリエンB_4類縁体の合成に応用した。6)新しいα-およびβ-グリコシル化反応の開発をまづ当面の目標として行なってきたが、特に、α-グリコシル化において、リン酸エステルを利用して優れた高選択的グリコシル化反応を開発することができた。
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