研究概要 |
1.ニワトリ胚線維芽細胞より單離したコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PGーM)を抗原として,そのコンドロイチン硫酸側鎖を認識するモノクローナル抗体(MOー225)を作製することができた. 抗原決定基の構造解析により,MOー225が認識するのは多糖鎖中のDーグルクロン酸2ー硫酸β一1,3NアセチルーDーガラクトサミン6ー硫酸單位であることを証明した. この決定基は鳥類,軟骨魚類のプロテオグリカンに豊富に存在するが哺乳類,とくにマウスやラットのプロテオグリカンには殆んど存在しないことも明らかとなった. 2.基底膜に類似した細胞外マトリックス分子群を合成するマウスのEHSー移植腫瘍から明らかに異なる2群のヘパラン硫酸プロテオグリカンを分離した. そのうち比較的比重の大きい成分はそれぞれ分子量34,000;29,000;27,000;21,000のコア蛋白貭にヘパラン硫酸(Mr=60,000)とコンドロイチン硫酸(Mr=17,000)の両方が結合した混成型プロテオグリカンであることを明らかにした. 基底膜をつくるプロテオグリカン群はこれまで考えられていた以上に複雑な分子構成のものと思われる. 3.4日目ニワトリ胚に6ーアミノニコチン酸アミドを注射して短肢症を発症させ,軟骨マトリックスのプロテオグリカン構造に異常が生じていることを明らかにした. 主成分の一つPGーHではコンドロイチン硫酸鎖の低硫酸化が顕著であった. コンドロイチン硫酸のケラタン硫酸に対する比率もいちじるしい低下を示した. 本研究費は上記研究に必要な試薬購入を中心に,有効に使用することができた.
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