研究概要 |
動植物のエネルギー生産と密に関連するミトコンドリアや葉緑体の電子伝達系の中で, ウシ心筋ミトコンドリアのチトクロムb__ーc__ー^1舶合体の結晶化を試みる目的で, 精製法に検討を加えた結果, 電気泳動的にはいる一つの感があるが, 膜濃縮法で小さい乍らも結晶性固体をえた. 現在, さらに改良を加えつつある段階である. 一方c__ー.ナ_<1.ニ>複合体の結晶化を試みているが, 大量精製が必要で, 現在その中間時点に来ている. 前回とは異り, 今立は硫安法を採用する予定. さてユーグレナは動物とも植物ともいわれる特異な分類群に属していて, そのチトクロムc__ーはヘム結合に特異な性質を示している. そこでこのチトクロムb__ーc__ー.ナ_<1.ニ>複合体を抽出精製したところ, b__ーの含量が約半分(ウシのに比べて)で, これは精製途上でヘムが脱離したためと思われる. ところがそのb__ーc__ー.ナ_<1.ニ>複合体の〓吸収スペクトルを検討したところ, 通常のc__ー.ナ_<1.ニ>はその2帯が552〜3nmにあるのに対し, このものは560nm近辺にあることが強く示唆され, これはc__ーと同様に特異なヘム結合様式をもっていることを強く示唆すると結論した. そこでその化学的背景を証明するためユーグレナc__ー.ナ_<1.ニ>を単離精製し, そのN末端構造やヘムペプチドを取り出し46残基の構造を決めたところ, 果して通常は2つのチオエーテル結合があるべきところ, 唯一つの結合しかもっておらず, ーFーAーPーCーHーの構造を示しFがCに置換って存在することが判明した. 電子伝達機構の解明の一助となると思われる. いいかえればCの硫黄原子は電子伝達に関与しないことを意味する. 一方酵母のチトクロムc__ー.ナ_<1.ニ>のC末端部の変異により, 疎水部の必須部位の特定に成功し, さらにc__ー.ナ_<1.ニ>分子の酸性領域の必須部位の特定にも成功した. b.ナ_<6.ニ>/fはプレクトネマより精製し, これがチトクロム酸化酵素に電子をわたすことを確認した.
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