研究課題/領域番号 |
62480002
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
遺伝学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 隆荘 広島大学, 学長 (00033796)
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研究分担者 |
谷口 研至 広島大学, 理学部, 講師 (10163627)
近藤 勝彦 広島大学, 理学部, 教授 (00110817)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 凍結保存 / 苗条原基 / 懸濁細胞 / 酵素抗体法 / 液体窒素 / 遺伝子銀行 |
研究概要 |
親植物と同じ遺伝子型を保持したままで植物を長期間保存するために液体窒素を用いる方法が有効であるが、種子の保存を除いて一般的に利用されるには至っていない。そこで、Tanaka & Ikeda(1983)によって開発されたクロ-ン増殖体である苗条原基を利用することによって、凍結保存をより簡単にすることが可能となった(Taniguchi et al.1988)。本研究においてはこの方法を更に広範な植物に適用していくことによって、遺伝子銀行としてのシステム化を促進していき、更に、苗条原基を単細胞レベルまで落としていくことによって本当の意味でのクロ-ン、すなわち、単細胞由来の遺伝子型として保存し、その伝達過程の人為的制御法を見いだすことを目的とした。 苗条原基を利用した遺伝子資源のシステム化を進めるうえで広範囲の遺伝子資源に適用できる必要があり、この観点からなるべく多くの植物で苗条原基の作出を試みた。供試した89種中、66種で苗条原基が作出された。これらのうちキク科植物を中心に、凍結保存法を9種類の苗条原基に実施し、9種類すべてにおいて高い生存率を得た。 単細胞の凍結保存に関しては、クレピスの懸濁細胞を誘導し、これより苗条原基を経て植物体に再生するクロ-ン増殖系の作出に成功した。この懸濁細胞を凍結保存に利用した。ここで凍結保存の大きな問題点として、生存判定を如何に早くするかが、凍結保存のシステム化にとって重要であり、従来より利用されているFDA染色法により細胞の生存を確認するとともに、新たに、酵素抗体法を用いて細胞分裂活性を測定する方法を開発した。これらの方法を利用して、凍結保存条件の検討を行い、懸濁細胞における凍結保存法の確立を行った。また遺伝子型及び染色体型の伝達に関しては、単細胞レベルでは確認するまでには行かなかったが、組織レベルでは、7種類について安定に伝達されていることが確かめられた。今後、更に単細胞増殖系について凍結保存を実施していくが、基本的には、苗条原基組織について凍結保存のシステム化を完成させてゆき、それでは補い切れない部分について他の培養細胞系の凍結保存を実施していきたい。
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