研究概要 |
1.過老令化ミクロコズムの持つ生物的化学的意味を究明するために,ここに至る過程の成熟期の開放系と閉鎖系を作製し, 気相の液相をガス態の変化および可溶分画における高分子有機物と低分子有機物を測定した. 1).ミクロコズムの成熟期に密栓をし物質的に隔離した閉鎖系を作製したところ, 気相および液相における酸素濃度の変化には開放系のそれと差異が認められず, このミクロコズムは生産性の側面よりみると成熟期以降外界とほぼ独立的であることが示唆された. しかし, 生物相をみると, 閉鎖系では大型消費者である水生ミミズの消失が見られた. 2).可溶分画における有機物は開放系と閉鎖系で280mmのスペクトルに差が認められたので, この分画を分子量的に分離し測定したところ, 開放系と閉鎖系で成分は同じであるが相対比に小さいが差がみられた. 2.構成種の適応的変化を究明するために, 構成種の単離を行なった. 1).バクテリアに関してはミクロコズムより4種類を単離し, 形態的および生理的性質を調べた. 2).原生動物を他の動物, 植物のいない分画に分け, ペニシリン, テトラサイクリン, ストレプトマイシンで処理することによって無菌の原生動物を作ることに成功した. 3).クロレラに関しても無機塩類培地上で無菌化を行なった. このようにして, 各種バクテリア, 原生動物およびクロレラからなる様々な段階のサブシステムを作製することが可能となり, 構成種の適応的変化を実験的に解析する研究体制が確立した. 3.開放系でのミクロコズムの研究において, 藻類バイオマスのアンモニア吸収能力の増大と光合成活性の低下が群集形成とその維持に基本的な貢献を行なっていることが推察された.
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