研究課題/領域番号 |
62480004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗原 康 東北大学, 理学部, 教授 (90004259)
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研究分担者 |
杉浦 桂 相模女子大学, 学芸学部, 講師 (30080469)
鹿野 秀一 東北大学, 理学部, 助手 (70154185)
菊地 永祐 東北大学, 理学部, 助教授 (00004482)
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キーワード | ミクロコズム / バクテリア / 種間競争 / 低濃度培地 / serial transfer / 形質変化 |
研究概要 |
本研究においては、16年経過した過老令化ミクロコズムは数が限られており、より広範な実験を行なうことは難しいため、かわりに3年前に移植したミクロコズムの構成バクテリアを種類毎に移植、増殖、定常、希釈の処理(serial transfer)を15〜25回繰り返し、このような操作によって多世代を経過したバクテリア種の形質を調べることによって、過老令化ミクロコズムの生物的諸性質を評価することを試みた。 1.ミクロコズムの高希釈液をペプトン寒天培地の平板上にプレートアウトして4種類のバクテリアを単離した。serial transferを繰り返すことによって多世代培養を行い、これらの増殖率を親株のそれと比較した。4種類のバクテリアは、いづれもserial transferを繰り返すことによって増殖率の高いバクテリアが優占するようになった。 2.serial transferを2種類のバクテリア共存下で行なうと、増殖率の増加はほとんど認められず、親株と同等かあるいはそれ以下の値を示した。この事実は明らかに競争の結果と言える。 3.構成種のうちグラム陰性の桿菌を高濃度培地と低濃度培地でserial transferを繰り返した多世代培養後の増殖率を調べたところ、次の結果を得た。低濃度培地でserial transferを行ったバクテリアの増殖率は基質濃度が低いときは高濃度培地でserial transferを行ったバクテリアのそれよりも高くなり、基質濃度が高いときには、低濃度培地でserial transferを行ったバクテリアの増殖率は高濃度でserial transferを行ったバクテリアのそれより低くなった。また、低濃度状態に遭遇すると、アミノ酸合成にかかわる酵素系を具備したミュータントが優占化し、このことによって種の存続がはかられ、このことがミクロコズムの安定性を保障していることが示された。
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