研究課題/領域番号 |
62480006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 昭一 京都大学, 理学部, 教授 (30019244)
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研究分担者 |
安部 琢哉 京都大学, 理学部, 助教授 (00045030)
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キーワード | カタクリ / オオバナノエンレイソウ / フタリシズカ / ヒトリシズカ / エライオソーム / 糖 / 遊離アミノ酸 / ηーアルケン |
研究概要 |
1、前年度、カタクリのエライオソーム成分の検索において、予想外のフェロモン類似物質である不飽和ηーアルケンが発見された。そこで、本年度は糖、非タンパク性遊離アミノ酸などの検索をカタクリ、オオバナノエンレイソウ、ヒトリシズカ、フタリシズカなどのエライオソームについて行った。その結果、カタクリのエライオソームにはまったく糖も遊離アミノ酸も含まれておらず、ηーアルケン、ηアルカンなどの高級炭化水素のみが含有されていること、これに対しオオバナエンレイソウでは、遊離アミノ酸は全く含まれていないが、フラクトース(4.60mg/33mg、13.9%)、グルコース(7.67mg/33mg、23.2%)、サッカロース(4.73mg、14.3%)と極めて高濃度の糖が含まれていることが明らかとなった。一方、ヒトリシズカのエライオソーム中にはフラクトース、グルコース、マルトースなどの糖を含有するのに対し、フタリシズカは開放花、閉鎖花共に全く糖もアミノ酸も含まないことが明らかとなった。これらの事実は、蟻の誘引に関与する物質が、植物の種によって著しく異っていることを示唆するものであり、野外におけるバイオアッセイが必要である。 2、イタドリ、オオイタドリの花外蜜腺に吸蜜に訪ずれる昆虫は、蜂以外では寄生蟻が多く、ジガバチ、ハバチなどが頻繁に蜜腺を訪れ、それ以外にもガガンボ、アカハネムシなどの盗蜜が非常に多い。 3、植物体を摂食する昆虫は実に様々で、汁液を吸うものにはツマジロカメムシ、ツマグロオオヨコバイ、直接葉を食害するものにはナエドコチャイロコガネ、カタモンコガネ、ビロードコガネ、イタドリハムシ、ルリハムシ、ヤナギルリハムシ、バラルリハツムシ、オオハナコメツチなど非常に多くの種が採集、記録された。今後の研究において、被食圧の定量的な研究が必要である。
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