研究概要 |
植物の核ゲノムの分子構造の分化機構を理解する目的で,rRNA遺伝子(rDNA)tRNA相似DNA配列をクローン化し,構造を解析している. 1.rDNA大スペーサー領域の構造解析 rDNA大スペーサー領域内で,あるDNA配列が縱列に連続して重複する例は動植物で広くみられている. 一般に,その反復領域は転写開始点より上流にあって,その重複が転写効率に関連するといわれている. ところで,ニンジンのrDNAでは,460bp配列の小規模な重複があるが,その配列中には転写開始点,あるいはプロセシングサイトがあり,特色のある構造なることが示された. 他方,ソラマメの大スペーサーでは,前駆体rRNAの転写単位の3'側寄りにMluIまたはAccI処理で断片となる325bp配列の反復領域がある. そして,その反復配列群の両側が約150bpの同方向配列で取り囲まれていた. それらの325bp,150bp各配列に相同な配列を含むEcoRI断片が,ソラマメ核DNAのcharon35ライブラリーから発見された. それは高度に規則的に編成されているrDNAとは異質の核ゲノム領域由来のものらしく,その一次構造が現在解析中である. 2.tRNA相似配列の解析 エンドウマメtRNAに相同性を示す核DNAの2.5,4.5kb BamHI断片がクローン化され,一次構造を決めつつある. 2.5kb断片中には,クロバー葉二次構造をとるDNA配列が3個発見された. 可溶性細胞質のtRNAは二次元ゲル電気泳動法で55スポットに分画された. クローン化してクロバー葉構造配列とのハイブリダイゼーションや,分画されたtRNA分子種の一次構造の解析などから,それら3種の配列はtRNAの僞遺伝子だと結論された. サザン法は,その配列のコピー数の多いことを示唆し,それが反復配列の可能性もあり,さらに詳細な解析を進めている.
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