(1)光発芽種子レタスの発芽調節key enzymeである、グルタミン合成酵素(GS)の全長cDNAを単離し、その塩基配列を決定した。また、そのcDNAをプロ-ブとしてレタスGS遺伝子を単離し、構造解析した。 (2)イネseedlingの根および葉からそれぞれcDNA libraryを作製し、レタスGSをプロ-ブとしてスクリ-ニングした結果、根からはRGS-8(GSI:cytosol型)のみが、葉からはRGS-28(GSI:cytosol型)およびRGS-31(GS2:chloroplast型)の二つが単離され、構造解析の結果、それぞれ、イネGSアイソザイムに対応する全長cDNAであることが判明した。また、Northernの結果、RGS-8は主に根で、RGS-28は主に葉で、RGS-31は葉のみで発現していることが確認できた。 (3)単子葉植物としては初めてGSの一次構造が明らかになったことにより、高等植物GSの共通構造が整理でき、かつ、その起原を推定することができた。すなわち、原核型GSサブユニットのC末から約100アミノ酸がとれて真核型GSサブユニットができ、同時に原核型の12量体から真核型の8量体へと変化したこと、また、その際にtran-sit peptideをつけたchloroplast(GS2)型が別に生じ、さらに、植物が上陸化し根と葉とをもつに至った時、cytosol(GS1)型が根と葉とで別々に発現する二つの遺伝子へと分かれたと推定される。 (4)GS遺伝子の器官特異的発現を支配する遺伝子側の構造を知る目的で、RGS-8、RGS-28およびRGS-31に対応するgenomic cloneを単離し、構造解析した。まず、gRGS-28は10個のintronで分断され、真核型GSでは唯一の報告例であるalfalfa GS遺伝子と比較すると、9番めのintronが消失している。GS2遺伝子であるgRGS-31は、5'側のnoncode領域にintronが挿入されており、gRGS-28(GS1 gene)で消失していたintronは存在している(図1参照)。 (5)主に葉のcytosolで発現するgRGS-28のプロモ-タ-領域を含む約2kbをGUS遺伝子につなぎ、タバコ葉をTi vectorでトランスフォ-ムしたところ、生じたtrans genic plantでは、GUS活性は葉でのみ検出された。どの領域が葉を認識しているのかを、deletion法で調べている。GS2gene(gRGS-31)および根で発現するgRGS-8についても同様の実験を行っている。
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