研究概要 |
日本産マメ科植物花粉の微細構造と形態を電子顕微鏡レベルで、統一的に記載し、写真によって図示するモノグラフの一環として、本研究ではソラマメ連ソラマメ属、クララ連イヌエンジュ属およびヌスビトハギ連ハギ属をまとめた。 ソラマメ属は日本では本来野生する13種と外来植物である2種が知られている。これらの花粉を研究し、この形質から日本産ソラマメ属は次の4群に分類できることが判明した。1群:Vicia sepium,2群:V.tetra-sperma;3群:V.hirsuta;4群:V.bifolia,V.fauriae,V.unijuga,V.venosa,V.nipponica,V.pseudoorobus,V.japonica,V,amurensis,V.amoena,V.cracca,& V.angustifolia. イヌエンジュ属は日本に3種が野生する。花粉形質から、次の2群に分類できることが判明した。1群:Maackia amurensis & M.floribunda;2群:M.tashiroi. ハギ属は分類学的な研究が未完成のために日本に野生する種類数が正確には不明であり、日本全国から十分な研究資料を集めて、多くの形質を比較研究したうえで、種類を設定することがまず必要があるが、暫定的には16種が認められている。本研究ではそのうち13種の花粉形態を観察した。花粉の大きさとその変異の傾向が、subgenus Lespedezaとsubgenus Macrolespedezaとで異なることが明らかになった。しかし調べた13種の花粉は基本的に同じタイプであり、ハギ属では花粉形態が系統分類学的な形質として評価できないと思われる。
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