研究概要 |
今年度は, 以下に示す2つの方向から研究を進め, 次のステップに進むために重要な知見を得た. 1)ウニの精子の頭部を保持して, さまざまな周波数・振幅で振動を加えるための装置を作製した. 予備実験の段階で開発した装置では, 振動の方向を変えると振幅等が安定しないなどの問題があった. そこで, 用いる圧電素子を変えるなどして, x・y・zの3方向振動型の装置と, x軸・y軸の2方向成分を変化させることのできる, 振動方向回転実験専用の装置とを開発した. これにより精度の高い制御が可能となった. 2)上記の装置を用いて, ウニの生きた精子および除膜後ATPで再活性化した精子を用いて, それらの頭部に振動を加え, さらに振動の面を変化させた. このときの鞭毛運動の波形変化を高速度ビデオに記録し解析を進めた結果, 振動面を変化させる方向によって, 可逆的に逆回転が起こる場合と起こらない場合とがあるらしいことがわかった. また, 可逆的な逆回転は, 振動面を連続的に8〜10回転させても起こった. 可逆的回転が起こるかどうかは, 振動面を変化させる方向と, 変化の速度とによって影響を受ける. 以上のような成果をふまえ, 可逆的回転数に限界があるのか, また軸系内の屈曲形成機構を壊さずに振動面を回転させることができる方向が一定しているのかどうかについて, 今後さらに定量的解析を進め, 鞭毛運動における屈曲面決定機構の解明を目指す.
|