研究概要 |
これまでの研究において,(a)マボヤ胚の分化マーカーとして使える筋肉細胞特異的および表皮細胞特異的モノクローナル抗体を作製し, また(b)尾芽胚のポリ(A)^+RNAに対するcDNAライブラリーを発現ベクターで作製した. 本研究では, この両者を駆使して, それぞれの遺伝子の断片を含むcDNAを単離し, それをプローブとしてそれぞれの遺伝子の発現が時間的・空間的にどのように制御されているかを解明することである. 1.(b)のcDNAライブラリーの発現を誘起して蛋白質を合成させ,合成された蛋白質をニトロセルロース・フィルターに移してそこで筋肉細胞特異的抗体と反応させたところ, ポジティブな反応を示すクローンが幾つか得られた. その中の一つをサブクローニングしλHrMM1(約1, 7kb)と名付けた. そして更にλHrMM1のEcoRI断片約200bをもとに, アンチセンスRNAプローブcHrMM1を作製した. この遺伝子の発現が発生のいつ起こるかを, 各発生段階の胚からポリ(A)^+RNAを抽出し, cHrHH1プローブとのノザンブロットにより調べたところ, のう胚期で初めてわずかながら薄いバンドが認められ, 神経胚期では明確なバンドが認められた. したがって, この遺伝子の活性化はのう胚期に起こるものと思われる. 現在, 塩基配列の決定により, この遺伝子の本体を深る努力と,in situ ハイブリダイゼーションによる空間的発現の解析をすすめている. 2.同様の方法で, 表皮細胞特異的抗原をコードする遺伝子の断片を含むcDNAプローブを単離する努力をした結果,λHrEP1プローブを得ることができた. 筋肉のプローブと同様に約100bのアンチセンスRNAプローブcHrEP1を作り, 現在ノザン・ブロットによりこの遺伝子の発現の時間を解析しているところである.
|