研究課題/領域番号 |
62480020
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
江口 吾朗 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (80022581)
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研究分担者 |
阿形 清和 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (70167831)
児玉 隆治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90161950)
渡辺 憲二 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (00079691)
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キーワード | 修復再生 / 分化形質転換 / 脱分化 / 再分化 / 遺伝子の発現とその調節 / 形態形成因子 |
研究概要 |
1.昨年度の研究で、イモリのレンズ再生に重要な役割を果すと考えられる細胞表面分子の存在を、モノクローン抗体の作出を通じて示唆したが、この分子を継続して研究し、次の極めて興味深い成果を得た。この分子(2NI-36)は、虹彩色素上皮に特異的ではなく、角膜基質、虹彩基質、網膜色素上皮などの眼組織のほか、血管内皮、直皮、肝等々さまざまな組織の細胞表面に検出される。このように広く分布する2NI-36分子は、イモリ眼球からレンズが全摘出されると、将来レンズを再生する虹彩上縁部のみで、その部分の色素上皮細胞の脱組織化(脱分化)に先立って、一時的に消退する。さらに、生体系では、決してレンズを形成することのない虹彩下縁部の組織片を、2NI-36モノクローン抗体で5日間処理したのちに、レンズ除去眼内に移植すると、高頻度で移植片の色素上皮からレンズが形成されることが明らかにされた。これらの事実は、2NI-36分子が、色素上皮細胞の分化形質発現を安定に維持するのに深く関与していることを示すもので、発生生物学上きわめて意義深い発見である。 2.ニワトリ胚の眼について、色素上皮の分化形質発現の安定化に関わる基質分子を単離同定した。この基質分子は分子量役300KDの糖蛋質で、結合組織を中心とし各種組織の細胞外基質に広く分布する。この分子のcDNAのクローン化をおこない、その一部の一次構造を解析した。その結果、ヒトのアポリポプロテインB(アポB)と高いホモロジーを示した。そこで、この分子とアポBを生化学的に比較し、分子量、抗原生、超遠心における密度が同じであることが判明した。本研究で示された300KDの糖蛋白すなわち、アポBの組織分布は、興味深い新知見である。 以上のごとく、本研究はきわめて順調に進展しており、予定の年限内には、有意義な具体成果の得られることが確実となりつつある。
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