研究課題/領域番号 |
62480028
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発酵工学
|
研究機関 | 東京大学 (1988) 東京工業大学 (1987) |
研究代表者 |
軽部 征夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50089827)
|
研究分担者 |
早出 広司 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (10187883)
民谷 栄一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (60179893)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
キーワード | 大胃菌 / ヒドロゲナーゼ / 水素生産 / 蛋白質工学 / hydA / hydB |
研究概要 |
本研究は微生物を用いる水素生産の効率化を目指して水素産生菌の水素産生を支配している酵素、ヒドロゲナーゼの分子レベルからの改良を目的として研究を行った。 まず、当研究室でクローニングに成功しているヒドロゲナーゼ系遺伝子、hydAおよびhydBの機能を類推したところ、それぞれ活性発現の調節およびヒドロゲナーゼを構成するサブユニットの一部であることが示唆された。 そこで、hydAの遺伝子配列を変更し、ヒドロゲナーゼ活性の改良を試みた。すなわち、DNAシンセサイザーを用いて目的部位を変更した遺伝子を合成し、これらを大腸菌中に形質転換して各々のヒドロゲナーゼ活性を測定した。その結果、hydAのシステインをセリンに変更した遺伝子を有する株のヒドロゲナーゼ活性が野性株の133%まで向上していた。これはhydA産物のアミノ酸置換が起ったことにより、ヒドロゲナーゼ活性発現の調節に変化が起った結果と推察された。また、他のアミノ酸置換を行った遺伝子を含む株はヒドロゲナーゼ活性が検出されなかったことから、これらの部位がヒドロゲナーゼ発現にきわめて重要な部位であることがわかった。 一方、hydB欠損株がNイオン存在下で培養するとヒドロゲナーゼ活性を回復することを見い出した。そこでhydB欠損株を他の金属イオン存在下で培養したところ、FeやVイオン存在下でもヒドロゲナーゼの水素吸収活性が回復した。しかしヒドロゲナーゼの水素発生活性は回復しなかった。このようにヒドロゲナーゼの活性中心に関与している金属を交換することによりその性質を改質することに成功した。 以上のように本研究では酵素ヒドロゲナーゼを蛋白質工学的手法により分子レベルから改造することに成功した。この成果は今後の微生物水素生産の効率化に大いに貢献すると期待される。
|