研究概要 |
イネプロトプラストにエレクトロポレーション法によりカナマイシン抵抗性遺伝子を導入し、抗生物質G418で選抜したカルスから緑色植物体を再分化させた。さらに、サザン法により外来遺伝子の挿入を確認した。 イネ品種ヤマホウシの葯培養由来のカルスをAA培地で振盪培養して、それからプロトプラストを単離した。プロトプラスト(2×10^6/ml)を氷冷したMESbuffer(0.5mM MES,7mM KCl,4mM CaCl_2,0.36M ma nnitol,pH5.8)に懸濁し、プラスミドpCNとpBI221(それぞれ15μg/ml)を添加した。pCNはCaMV35S promoterとTn5に由来するAPH(3°)II遺伝子を持ち、一方、pBI22/はGUS遺伝子を持っている。エレクトロポレーションはコンデンサーの放電で得られる電気パルスで行った。25μFまたは22μFのコンデンサーを用い750V/cmまたは1000V/cmの電界強度でエレクトロポレーションを行うとGUS活性が見られた。750V/cmのパルスを与えた時のパルス幅(95%減衰する時間)は12msec、プロトプラストの生存率は50%であった。培養2日目にGUS assayを行い活性が検出されたものについて培養を続けた。培養4週目に20mg/1 G418 sulfateと1%agaroseを添加したNO_3培地に移植して2週間培養し、形質換体を選抜した。 G418に耐性を示した19個のカルスから緑色植物体が5個体再分化した。これらの植物体を50mg/1Kanamycin sulfateを含む培地に移植しても新展開葉は白色化せずカナマイシン抵抗性であることがわかった。また、全個体の葉においてTn5由来のAPH(3′)II活性が認められた。さらに、サザンプロットの結果、pCNのインタクトな遺伝子、またはその一部(1ー数コピー)がイネの染色体に組み込まれていることがわかった。植物体についてGUS活性は見られなかった。
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