1.キュウリ品種 「シャープワン」 に対して、接ぎ木台木として、クロダネカホチャ、新土佐1号、自根の3種類を行い、光条件と夜温の組合せが、キュウリの生育、生理機能、養水分吸収、光合成特性、呼吸速度等に及ぼす影響を調査した。その結果、強光条件下では、一般に台木間の生育、生理機能、養水分吸収能等に大きな差が認められ、弱光条件下ではその差が小さくなることが明らかになった。また、夜温については低温下で、台木間の生理的特性が明確な差となって現われ、夜温の上昇とともに、その差は小さくなる傾向にあった。台木種類間の特性を詳細にみるとクロダネカボチャ台は低温下における養水分吸収、光合成速度、蒸散速度、光合成産物の転流速度等が、他の台木に接ぎ木したキュウリに比べて高かった。しかし夜温が高くなる従ってそれらの特性は他台木のそれに比べて劣るようになった。一方、新土佐1号台木の場合低夜温でこそクロダネカボチャ台に劣るものの、高夜温になるに従い生理活性が増加し、生長速度に大きな差となって現われた。 2.上記3種の台木に接ぎ木したキュウリの泌液量は、日吸水量と正の相関をもつことが明らかになった。また泌液中の無機成分は、培養液中から吸収された無機成分量とも正の相関が認められた。しかし植物体内の無機成分含有率は泌液組成とは一定の傾向がみられなかった。 3.トマト 「瑞光102」 をKNFV、瑞健、自根の三種に接ぎ木して光、温度条件を変えてNFTで養液栽培した。トマトは前連のキュウリよりも光環境に対して敏感に反応し、台木種類間の生理的特性は明らかになった。KNVF台は肥料吸収、特に窒素、カリの吸収が盛んで、夜温が高い条件下ではその傾向はさらに顕著であった。瑞健は養水分吸収光合成速度、呼吸速度等で自根植物と大差ない値となり、これらの生理的特性が栽培上の草勢と深い関連をもつことがわかった。
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