植物レオウイルスの3つのサブグループを各々代表するイネ萎縮ウイルス、イネ黒条萎縮ウイルス、イネラギッドスタントウイルスのゲノム構造を解析し以下の点を明らかにした。 1)イネ萎縮ウイルス全セグメントの3′末端領域と、S3〜12の5′末端領域、およびS9とS10の全塩基配列を決定した。 2)イネ黒条萎縮とイネラギッドスタントウイルスの各々S9、10の全塩基配列を決定した。 3)イネラギッドスタントウイルスのmRNAのキャップ構造を同定した。 以上の結果から以下の結論を得た。イネ萎縮ウイルスのS3〜12の両末端塩基配列の解析から逆向きの繰返し配列が見出された。この構造は、イネ黒条萎縮ウイルスS10やイネラギッドスタントウイルスS9にも存在し、この構造がウイルスの複製に重要であろうと思われた。更にイネ萎縮ウイルスの5′末端には、5′GGUAAA…又は5′GGCAAA…の、そして3′末端には…UGAU3′又は…CGAU3′の共通保存配列を見出した。これらの配列は同一サブグループに属するwound tumor virusの共通保存配列である5′GGUAUU……UGAU3′と類似又は同一の配列であり、両ウイルスの近縁関係が分子レベルで初めて明らかとなった。またイネ黒萎縮ウイルスやイネラギッドスタントウイルスの塩基配列より予想される共通保存配列とは、明らかに異っており、サブグループ間で末端構造の保存配列の異りが示唆された。
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