研究概要 |
1.エリシター,サプレッサーのPAL酵素活性とピサチン蓄積に及ぼす影響 エリシター処理による裏面剥離エンドウ葉のPAL遺伝子転写活性を,インゲンPALcDNAをプローブとするノーザンブロットハイブリダイゼーションにより検索したが,本系ではi)裏面剥離処理に人手と時間がかかり過ぎ,PALnRNAの経時変化を正確に把握するには誤差が大きいこと,更にii)温室育成のエンドウ葉では,光誘導によるPAL転写活性が高く,エリシターの誘導によるPAL遺伝子転写レベルを経時的に比較するには,バックグランドが高すぎること,の問種点が明らかになった. 従って,暗黒下で育成した播種後6日目のエンドウ上胚軸を供試植物体とし,エリシターのPAL酵素活性,ピサチン蓄積量に及ぼす効果を調べたところ,PAL酵素活性はエリシター処理後9時間に顕著な増加が,また18〜24時間にはピサチンの蓄積が認められた. エリシターのサプレッサーの同時処理では,エリシターの誘導は確認されず,サプレッサーがエリシターの効果を打消すことが明らかとなった. 2.エリシター,サプレッサーのPALmRNA転写活性に及ぼす影響 上記の結果から,エリシター処理後1ー5時間の各時間ごとにエンドウ上胚軸かりRNAを抽出し,ホルムアルデヒドRNAアガロースゲルでRNAを分画後,インゲンPALcDNAをプローブとしたノーザンブロットハイブリダイゼーションを実施したところ,1ー3時間で著しいPALmRNA転写活性が確認された. 現在,サプレッサーのPALmRNA転写活性に及ぼす影響を検討している. 3.エンドウcDNAライブラリーの作成 非生物的エリシター,アクチノマイシンDで処理したエンドウ鞘からポリ(A^+)RNA画分を精製し, 所定の方法によりλgt11を用いたcDNAライブラリーを作成したところ,1μgあたり2×10^6個の組換え体プラークを得た. 現在PAL,CHS,HRGPのcDNAを同定している.
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