研究概要 |
寒冷気候下の北海道および東北地方北部には,第四紀後半に生成した埋没火山灰土,化石周氷河土,レス様土壌,疑似グライ土など種々の古土壌が残存している. 最近,北海道東大雪山麓では,永久凍土の残存も確認された. 本研究では,現在の土壌生成機構との対比において,更新世中期以降の古土壌を対象に,分布と分類,堆積年代,土壌化学と鉱物学的性質並びに形成期の古環境を追究しようとするものである. 昭和62年度の研究成果は,次のように要約することができる. 1.埋没火山灰土の研究の一環として,北海道および東北地方における第四紀火山砕屑物の分布と火山灰編年をまとめ,第9回国際土壌分類ワークショップにおいて発表した. 2.北海道東大雪山麓の十勝三股において,多目的現象記録計「データオール」を用い永久凍土の土壌温度を12ヵ月間連続測定を開始した. この永久凍土は,発見後16年経過したが,現在も地表下130〜190cm以深は完全に凍結状態であることを再確認した. 3.東北地方盛岡市周辺の北緯40°以南,標高500m末満の平野部において,インボリューションをもつ化石周氷河土の分布を調査した. 4.北海道北部稚内〜浜頓別付近の凝似グライ土様芝塚は,生成当時は, Gelic gleysol類似の古土壌と推定された. 5.東北日本に残存する化石周永河土は,最終氷期(約6万〜1万年B.P.)に発達した古土壌と,完新世の寒冷期(約5000〜2000年B.P.)に生成した土壌に2大別されると推定した.
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