昭和63年度は前年度に設置したチャ水耕ミニプラントを用い。以下の4項目の研究を行い、1〜4の成果を得た。 1 水耕チャの生育、養分吸収、アミノ酸生成、テアニン生成に対する炭酸ガス施用の効果を検討した。その結果、炭酸ガス1200ppm処理によって地上部、根部とも生育は対照区より促進され、光合成の増大が認められた。また窒素やリン酸吸収も優れた。しかしながら、アミノ酸含有率は逆に低くなる傾向を示した。またテアニン含量は明らかな差異を示さなかった。 2 水耕チャの生産向上のために、生育、養分吸収、アミノ酸生成などにおよぼす蛍光灯補光(18、24時間)の促進効果を検討した。その結果、蛍光灯補光を行っても生育、養分吸収ともあまり変らず、新芽のアミノ酸含量はやや減少した。 3 チャの生育、窒素吸収、アミノ酸生成に対する休眠の効果を、チャ新芽摘採後よりの室温の加温、無加温制御によって検討した。その結果、休眠を与えると、明らかに生産量は減少したが、全窒素含有率、アミノ酸含有率は高くなり、茶の品質が優れると推定された。したがって、水耕チャにおいても休眠を与えることは、茶の品質向上を目指す上に有効であると考えられる。逆にいえば、継続的摘採は収量は増大するが、品質において劣ることが明らかとなった。 4 チャの水耕栽培において、従来から硫酸アルミニウムが使用されているが、その代りにアルミニウム産業の廃棄物より回収したアルミニウムドロスを用い、その効果を検討した。その結果、チャの生育は硫酸アルミニウム区とほとんど変らず、同程度の効果をもたらした。しかし根において、色がやや褐色を帯びていた。
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