1.本研究を行うに前もってガラス室内にチャの水耕ミニプラントを4基設置した。また養液供給ー休止の制御、養液温度可変制御、CO_2供給、蛍光灯による補光、室内の温度加温ができるようにした。2.チャの水耕栽培中における根に散布する養液の供給、休止時間の好適条件を検討した。その結果、供給10分、休止35分の処理で生育やNPKの養分吸収が優れた。3.チャの生育、養分吸収、アミノ酸生成に対する好適養液温度を検討した。その結果、20℃でチャの生育、アミノ酸生成、テアニン生成が高く、最も良好となった。4.チャの生育、養分吸収に対する炭酸ガス施用の効果を検討した。その結果、炭素ガス1200ppm処理区で地上部、根部とも生育やN、P吸収も優れ、光合成活性、養分吸収の増大が認められた。逆にアミノ酸含有率は低い傾向を示した、テアニン含量は明らかな差を示さなかった。5.水耕チャの生産向上のために、生育、養分吸収、アミノ酸生成などに及ぼす蛍光灯補光の効果を検討した。その結果、蛍光灯補光を行っても生育、養分吸収ともあまり変らず、新芽のアミノ酸含量はやや減少した。6.チャの生育、窒素吸収、アミノ酸生成に対する休眠の効果を、チャ新芽摘採後よりの室温の加温、無加温制御によって検討した。その結果、休眠を与えると、生産量は減少したが、全窒素含有率、アミノ酸含有率は高くなり、茶の品質が優れると推定された。したがって、水耕チャにおいても休眠を与えることは、茶の品質向上を目指す上に有効であると考えられる。7.チャの水耕栽培において、硫酸アルミニウムが現在使用されている。これに代るものとして、アルミニウム産業廃棄物より回収したアルミニウムドロスを用い、効果を検討した。その結果、チャの生育は硫酸アルミニウム(対照)とほとんど変らず、同程度の効果をもたらした。しかし根において若干褐色を帯びることが認められた。
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