研究概要 |
トウガラシの長期間の栽培のため連作障害が発生している地域より,トウガラシ疫病の発病地点と無病地点より採取した34ヶの作土について,発病および無病土壌間の理化学的性質の差異,発病発生の原因になっている疫病菌(Phytophthora capsice)に対する土壌の溶菌活性,土壌の微生物相の特徴および疫病菌に対する拮抗微生物の分離・同定を行った. トウガラシを栽培している畑土壌の発病地点と無病地点の理化学的性質の差異を検討したところ,発病土壌は無病土壌に比べてpH(H_2O)が高く,土壌の水分含量が大きかった. その他の有機物含量,交換性陽イオン等については,両者の土壌間に有意の差は認められなかった. トウガラシ疫病菌に対する土壌の溶菌活性は,発病土壌において低く,さらに遊走子の方の形成数が大きいことが明らかになった. また,土壌の微生物相の中で,発病土壌ではPseudomonas属に代表されるグラム陰性細菌が多く,一方,無病土壌においてセルロース分解菌数が多かった. 連作障害の生態学的防除法の確立を図るため,発病および無病土壌の拮抗微生物の計数および分離をトウガラシ疫病菌に対する対峙培養法により検討した, 疫病菌に対する土壌系状菌の拮抗菌率は無病土壌において44%であり,無病土壌の拮抗菌率の18%よりかなり高く,連作障害の発病抑止に対して拮抗系状菌の役割の重要性が示唆された. なお,拮抗系状菌として,Aspergillus fumigatus,Aspergillus niger,Aspergillus flavus,Pentcillium sp.が分離・同定された.
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