研究概要 |
スギの酵素種の検出について18酵素種を実施し, その内13酵素種で鮮明な泳動像がえられ, 合計14遺伝子座28遺伝子を検出した. モノマー型の遺伝が大多数であったが, ダイマー型の遺伝が6Pgー1,Mnr, Estー1の遺伝子座でみられた. また, Lap遺伝子座では5個の複対立遺伝子を検出した. スギ精英樹29クローンの自殖家系のアイソザイム分析の結果, 7遺伝子座について遺伝子型を明らかにした. また, この遺伝子型データを数量化理論第3類及びクラスター分析によって解析した結果, スギ精英樹, 今市2, 水戸10及び大月15がそれぞれとびはなれた分布(グループ)をなし, 他の26クローンは原点の近傍に集中した分布をしめした, これにより遺伝子型による類縁関係の群別が可能であることが判明した. オビスギ15品種の40クローン及び九州地方で選択したスギ精英樹60クローンを分析した. 遺伝子分析が完了している6遺伝子座(Lapー1, 6Pgー1, 6Pgー2, Diaー3, Pgmー1, Pgmー2)と新らたに3遺伝子座(Gotー1, Gotー2, Gdhー1)を加え, 合計9遺伝子座の分析をした. 9遺伝子座の内, 遺伝子型の変異があったGotー1, Lapー1, 6Pgー1, Diaー1及びAcpによって分類した. その結果, オビアカ, トサアカ, イボアカ, アラカワ, エダナガ, ヒキ, ミゾロギ, チリメントサ, トサグロ, オビクロ(クロ)は品種内個体に複数の遺伝子型が出現し, 複合クローンであることを確かめた. 一方, ハアラとカラツキは1遺伝子型のみが出現した. スギ精英樹について在来品種名が明らかにされているものについて, アイソザイム遺伝子型を再検討し, その区分の適否を調査した. また, Gotー1, Lapー1及びDiaー3の遺伝子座でオビスギ在来品種とオビスギ以外の在来品種に区分されているスギ精英樹群の間でアイソザイム遺伝子頻度及び同遺伝子型頻度にちがいがみられ, 地域ごとの品種群間の類縁関係が検討できる可能性を確かめた.
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