研究課題/領域番号 |
62480061
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤井 龍男 京都大学, 農学部, 助教授 (90026625)
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研究分担者 |
上田 晋之助 京都大学, 農学部, 助手 (70026631)
真鍋 逸平 京都大学, 農学部, 助手 (60026630)
古野 東洲 京都大学, 農学部, 助教授 (00026626)
吉村 健次郎 京都大学, 農学部, 助教授 (10026627)
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キーワード | 階層混交 / 混交林 / 複層林 / 択伐林型 / 天然更新 |
研究概要 |
本研究は種々の公益的機能の発揮に有効な林型であるとされる複層林を、耐陰性と生長速度の異なる樹種の階層混交林として造成し、しかも一般の単純林施業のような集約技術ではなく、林業経営的にもなりたつ低コストの育林技術体系として確立させようとなるものである。しかし現在日本には明確な技術によって成立した混交複層林はほとんど存在しないので、手入れ不足等比較的粗放な方法で成林した各種針広混近交林の実態の広く調査し、資料を収集、解析することが研究の主体である。現在までえられた主な研究成果は次のようである。 一般のスギやヒノキの造林地にアカマツや広葉木林が進入し、下刈り、降伐等に手ぬきがあるとそれらとの混交林のなる事例が比較的多くみられるがその広がりの実態については明らかでないので、今年度は京都や滋賀県内における面積的な割合いや取扱い上の特徴について現地調査を進めた。その結果、ヒノキあるいはスギと他樹種との混交複庫休は森林面積の数%ほどあるようである。さらに本年度は拡大造林にともない生長不良となった造林木と自生種との混交林状態の不成績造林地の一内例として、兵庫県山崎営林署の30年生スギ造林地の構造を解析した。その結果、造林後15年度目以降の生長良好なスギは植栽本数の約27%の900本1haで、樹高5m以上の優勢林となり、落葉広葉樹と上層林冠を形成している。そして斜面下部の生長良好な造林地の上層林の平均樹高約13mに比較し、約6mほど低いが、ミズナラ、ミズメ、ホオノキ等の有用広葉樹も比較的多く混交しているので、このような不成績林地はこのまま自然の推移にゆだねれば、本地域の天然林に類似した混交複層林に育つ可能性が高いと判断された。次年度もこのような事例をできるだけ多く調査し、多面的、総合的な解析を行なって混交型複層林の造成技術の体系をとりまとめる予定である。
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