研究概要 |
愛媛県上浮穴郡久万町に1961年に設定したスギ群状択伐作業試験林において, 択伐後22年を経過した大小2個の林孔(群状択伐跡地)を選び, 周辺上木の位置, 胸高直径, 樹高, 枝下高などを測定するとともに, 林孔内下木の形貭(完満性, 通直性)調査を行った. また, 同町内において, 下木植栽後20年以上を経過した二段林5林分(下木の品種:ヤナセ, サンブ, 松下各1林分, 地スギ2林分), 対照として同年代, 各品種のスギ皆伐一斉林5林分(地スギ2林分)を選び, 上と同称の調査を行った. 更にまた, これら各林分において材貭実験用試料を採取した. 材貭については, 目下実験中であるが, 形貭について現在までに得られた結果は, 次のとおりである. 1.第1丸太あたりの完満性を示す直径率(地上高3mの直径/胸高直径)は, 樹高と高い相関を示し, 同一樹高で比較すれば, 群状択伐作業林, ヤナセ二段林下木がやや小さいが, 二段林下木, 皆伐一斉林植栽木の間には大きな違いは認められなかった. この因子は枝下高とも高い相関が認められ, 手入れの良否によっても左右された. 2.樹木全体の完満性を示す形状比(樹高/胸高直径)は胸高直径と高い負の相関が認められ, 同一直径であれば, 比較的光環境のよい複層林下木に高く, 光環境の悪い複層林下木で小さかった. 皆伐一斉林植栽木はこれらのほぼ中庸の値を示し, 林分による変動が小さかった. 3.根元曲がりは地形とも関係するが, 一般に複層林下木よりも皆伐一斉林植栽木の方が, 出現率, 高さともに大きかった. 4.幹曲がりは根元曲がりとは逆に, 皆伐一斉林植栽木がやや小さいが, 二段林下木も大差はなかった. 群状択伐作業林下木はかなり大きな幹曲がりを有したが, 9年前の測定値に対し, 同一樹木で若干の自己〓正の傾向が認められた.
|