研究概要 |
アカマツ,スギ,ハイネズ,アラカシ,ケヤキのほか,中国産の乾燥地帯に生育しているカボウ,ニンジョウ,ヤンサイ,モンゴルマツ苗木を農学部ガラス室内のコンクリートベッド(1×2m)6個と5万分の1ワグナーポット200個に定植して育てた. 用土は川砂とバーミキライトを用いた. 土壌中の水分を乾燥状態から適潤状態まで種々の段階に調節し, 各樹種について個体の生長経過を定期的に測定した. 同時に, 定期的に光合成量,呼吸量,蒸散量,樹液流速度,木部圧ポテンジャルなどの測定も行った. これとは別に野外の自然条件下でも各樹種を生育させ,定期的に各種の生育調査を行った野外の自然条件下でも各樹種を生育させ,定期的に各種の生育調査を行った. また, 全国各地にできるだけ出向き,それぞれの地域に生育している樹木を対象にして各種の調査,測定も行ッた. 土壌水分の調整は,ポットに植栽しているものについてはポットの重量を測定することにより,また,ベッドに植栽しているものについては1日あたりのかん水量をちがえることによって行った. スギ,アカマツでは土壌含水率のちがいによる生長差(乾重)は8月以降に現れたが, アラカシ,ケヤキでは7月頃から現れた. 中国産の樹種はいずれも種子から発芽させたものであるため, 今のところ目立ったちがいは認められない状態である. また,各樹種について,米国ライカ社製光合成蒸散測定装置によって光合成特性を調べた結果,土壌のPF価が4を越えると光合成速度の急激な低下がみられたり,光合成速度の日変化にちがいが認められるなど,水ストレスはどの樹種での光合成能力に影響をおよぼした. 中国産のどの樹種も,アラカシやアカマツにくらべて光合成速度は速かった. このほか,水ストレスとPーV曲線の形との関係や樹液流速度,蒸散量,呼吸量などとの関係についても種々調査した. 来年度もさらに詳しく調査を行い,林木の水分特性と耐乾性に関する研究を格段に進展させる予定である.
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